この記事では、Orion環境でのActive-Active冗長化構成の構築に関して、以下の英語情報に基づき、要点や制限をメモ化したものです。
Orion Active-Active solution
(*同英語記事では、一般の導入前チェックなども記載あるが、以下のメモではAct-Actの点に絞った要点を書き出す)
概要と主な注意点
・対象製品として、NPM 12.1;NPM 12.2;NPM 12.3;NPM 12.4 の記載があるが、いずれのOrion環境でも該当。
・Active-Active構成の絵。ここではPrimary-Secondary間が点線で結ばれているが、自動同期は行われない。

・SQLデータベースは、プライマリ、セカンダリで別々で持ち、自動同期されない。
・大まかに言えば、2つのOrionインスタンスで、同じ対象を監視することでActive-Activeとしている。
・様々な制限事項がある
- Orion Agentノードは、プライマリかセカンダリのいずれにしか、属することができない
- Syslog, Trap, NetFlow など、機器側からのアクションに頼る場合、機器側で両方に飛ばす設定をすることが必要 (*デバイスや環境の設定可否に依存)
- アラートやレポートは、基本的にプライマリ/セカンダリのそれぞれで構成することが必要。(自動同期しない為)
- アラートアクションやレポート出力は、プライマリとセカンダリの両方から実行される。(二重通知される)
・Orionプラットフォーム 2016.2以降
・プライマリ/セカンダリ共に、Orion導入要件(ハード/ソフト)は、単独導入時と同じ。
(こちら合わせて参照。Orion製品全般:導入に関する予備知識 )
・プライマリ/セカンダリにて、導入製品とライセンスレベルが一致していること。
・プライマリ/セカンダリ共に、導入されているすべての製品にてライセンスActivationする必要がある。(Orion HAとは異なる)
・プライマリとセカンダリのそれぞれのインスタンスで、MS SQL Management Studio のようなSQL管理ツールを用意することが望ましい
構築手順概要と関連メモ
・大まかなAct-Act構築手順
-1. プライマリOrionの導入と運用に必要な設定を全て完了し、一般的な運用が開始できる状態にする
-2. プライマリ側で、DBのバックアップ
-3. セカンダリOrionの導入。但し、設定ウィザードをキャンセルで抜ける
-4. 2でバックアップしたプライマリのDBを、セカンダリDBにリストアする
-5. Post-Restore スクリプトをセカンダリDBに流す
-6. セカンダリで設定ウィザードを実行する。(migration.exe utility の場面で失敗するが、次のステップで修正する)
-7. セカンダリでライセンスをResetする
-8. セカンダリでライセンスActivation実施する
・同期の方法
-1. プライマリ側のバックアップ
-2. セカンダリ側でライセンス情報のバックアップ
-3. 上の1をセカンダリDBにリストア
-4. ライセンス情報をセカンダリDBにコピー
-5. Post-Restoreスクリプトを流す
・Post-Restore スクリプトとは: リストア後のDBに対し、Hostnameなどプライマリの情報をセカンダリ情報に置き換える役割のスクリプト
・運用開始後に、セカンダリDBからライセンス情報をバックアップしておく。(同期作業時に必要)
(*Post-Restore スクリプト作成、ライセンス情報をバックアップ取得の手順詳細は、元URL情報を参照のこと)
・プライマリ/セカンダリで同期するタイミングは、DBメンテナンスのタイミングや、各種操作(ノードやCredentialの追加、カスタムプロパティの追加編集、その他あらゆる監視設定の変更)を実施の後に必要
・DBバックアップ/リストア時はOrionサービスの停止必要な為、この間のデータギャップが生じる
・Orion製品のバージョン更新時は、DBテーブルスキーマが変わることが多い為、再度最初からAct-Act構築を実施することが必要。この時、Post-Restore スクリプト、セカンダリDBからライセンス情報をバックアップ も新たに再作成/取得する必要ある
考察
-Act-Act構成であり、プライマリ/セカンダリ共に正常動作している限り、監視が停止することはない
-同期タイミングを多くとれば取るほど、プライマリ/セカンダリ共にデータギャップは多くなる
-Orion HAと比較すると、運用上の様々な制約がある