*このブログは、2022年1月26日に SolarWinds Head Geek が投稿したブログの抄訳です。
パンデミックの初期から2021年には、働き方の変化、加速するデジタル変革、新しいサポート手順など、あらゆる要望に対応する必要がありました。優れたサポートを提供するためには、迅速な対応とインシデントの解決だけでなく、プロアクティブに状況を把握するためのプロセスも重要な要素になります。それが、問題管理と変更管理です。
このブログでは、ITIL 4フレームワークの概要を解説します。ITILは、Information Technology Infrastructure Libraryの略で、効果的にサービスを設計、提供、維持できるようにするためのモデルとして広く知られています。ITILの優れた点は、その柔軟性にあり、組織の文化的ニーズや価値観に合わせて推奨事項を適応させることができます。ITIL 4のベストプラクティスをサービスマネジメント戦略に導入することで、ナレッジの文書化や特定された問題の迅速な解決に役立てることができます。また、エンドユーザへの影響を最小限に抑えることで、ビジネスの継続性を確保することもできます。
サービスオペレーションを改善し、より積極的な対策を講じるためには、ITILの推奨事項の原則をどのようにサービスマネジメント戦略に織り込んでいくかを検討してみてください。
問題管理とは何か?
ITIL ファンデーションによると、問題管理の目的は、"インシデントの実際の原因と潜在的な原因を特定し、回避策や既知のエラーを管理することによって、インシデントの発生と影響を低減すること"とされています。問題管理を実践する際、チームはより大きな障害の可能性を最小化するために問題を発見し解決することに努めます。また、問題を解決するための救済策がない場合、問題を回避するための行動を発掘することもあります。
- 問題の特定
問題の特定は、根本原因の特定に重点を置いて行われます。これは、重複する問題や同様に報告された問題など、インシデントをレビューして、傾向を見出し、パターン化することで行うことができます。サービス管理者として、傾向分析からパフォーマンスのダイナミクスを理解するための示唆を得ることができます。インシデントの増加は、特定のサービス内のエラーや問題から生じている可能性があるからです。技術スタック全体の運用と関係を考慮した傾向分析により、より効果的に問題のトラブルシューティングを行うことができます。
- 問題の制御
問題の管理は、リスク別に問題を検討し、優先順位をつけることから始まります。問題を特定するステップでリスクの初期評価を行い、その問題が組織全体により大きな影響を与える可能性があるかを見極めます。サービス管理者は、この情報を部門間で伝達し、可視化することでコラボレーションを促進することができます。一般的なシナリオでのシステムの動作から、既知のユーザーの行動や脆弱性まで、提供できる洞察と知識は、他のチームや部門がリスクと潜在的な影響を理解するのに役立ちます。
解決できない問題は、既知のエラーとして分類されるべきです。これらの問題に対する回避策を文書化し、今後発生する問題に対して適用する必要があります。既知のエラーデータベース(KEDB)に問題と回避策を記録することは、将来起こりうるインシデントに対処するための効率的かつ費用対効果の高い方法となります。
- エラーの制御
問題管理の最終段階では、サービスマネジメントの4つの側面がどのように問題に寄与したか、あるいは今後の対処に影響を与える可能性があるかを検討し、より恒久的な解決策を見つけることを目的としています。ITILのサービスマネジメントの4つの側面とは、組織と人、情報と技術、パートナーとサプライヤー、価値の流れとプロセスです。エラーや既存の解決策を検討する際には、より影響力のある問題を継続的に回避する方法を検討し、文書化しましょう。
構成管理とは何か?
変更管理は、よく問題管理と並行して実施されます。ITIL ファンデーションでは、変更管理を「リスクを適切に評価し、変更を許可し、変更スケジュールを管理することで、ITの変更を適切に行う」ことと定義しています。変更とは、サービスの変更と更新に特化しています。例えば、電子メールの認証方法の変更に関する連絡を配信する方法などがあります。
一般的には、依頼された変更を誰がレビューし、承認する必要があるかについて定義されたワークフローを持つ変更要求(RFC)プロセスを定義します。変更は、標準、通常、緊急に分類され、そのリスクと複雑さはさまざまです。標準的な変更は、ソフトウェアのアップデートなど、リスクが低く、事前に承認されたものを指します。一方、通常の変更は、オンプレミスからクラウドへのサービスの移行など、プロセスの開始前に承認が必要です。緊急の変更は、多くの場合、サービスの停止や組織全体に影響を及ぼす大規模な問題に関連することがあります。問題管理とともに変更管理を導入し、実践することで、サービスの合理化、ユーザーエクスペリエンスの向上に貢献します。
問題管理や変更管理戦略を導入するメリットとは
問題管理や変更管理は新しいものではありませんが、特にパンデミックの期間中に、企業はこれらの採用、または改良する必要性を認識するようになりました。これは、ビジネスの継続性を確保し、大きな混乱を防ぐのを支援するからです。(ユーザーのデジタルチャネルへの依存度が高まっている昨今、特に重要です)。ITIL 4フレームワークは、進化するテクノロジースタックに関する文書化と知識を組織全体で維持・共有することを目指すITの専門家に、多くの推奨事項を提供しています。
よりプロアクティブな運用と効率的な復旧の実現
問題管理や変更管理の一部として、過去に発生した問題を追跡・記録し、将来に備えることが挙げられます。たとえば、過去に報告された問題が発生した場合、おそらくより効率的にトラブルシューティングできるナレッジベースの記事があり、対応と解決時間の短縮につながるでしょう。類似のインシデントを関連付けてあれば、問題の特定と根本的な原因に対処して問題を解決するためのエスカレーションの範囲も決められるようになります。
変更の特定、順序付け、実装の効率化
変更管理は、変更を要求/実行するチーム間での可視化を実現し、混乱を無くすのに役立ちます。変更に取り組むチーム間のコミュニケーションが強化され、ステータスと変更内容をより適切に伝えることができ、影響を受ける人々にも更新の予定が通知されます。また、変更によって環境内のどのプロセスが影響を受けるかを明確にすることができます。
ユーザーエクスペリエンスの改善
定義済みのプラクティスを実行することで、ユーザーは生産性を維持し、(うまくいけば)仕事の中断を無くすことができます。サービスマネジメント管理者の主な目標は、ユーザーを第一に考えることです。サービスマネジメント戦略において、サービスオートメーションなどのスマートツールを使って、可視化を実現してポジティブなユーザーエクスペリエンスを提供することで、サービスレベルを向上させることができます。
問題管理と変更管理のプロセスを採用または改善する際に考慮すべき4つの重要な項目
問題管理と変更管理は、問題が発生したときにその根本原因を見つけるだけのものではありません。これらのプロセスにより、IT管理者は、今後のインシデントのために問題を検出し管理するだけでなく、全体的なサービス品質を最適化することができます。プロアクティブな問題管理と変更管理を導入する場合、次の4つのアプローチを検討してください:
- 傾向や指標を調査することで、既存の問題や拡大しつつある問題を把握することができます。進行中のインシデントのレポートを収集し、レビューすることで、より詳しい根本原因分析を行い、環境における共通の問題をより簡単に判断することができます。
- 継続的に内容を見直し、改善することで、既存のドキュメントが適切であることを確認できます。最新のナレッジベースと KEDB を維持することで、既知のエラーや新しいエラーの知識を蓄積し、回避策や解決策で迅速に対応することができます。これは、時間とリソースを節約し、より積極的なITサービスマネジメントの運用につながります。
- 未導入なら、今すぐ問題管理と変更管理を始めましょう。ハイブリッド環境におけるビジネスの継続性を確保し、ユーザーへのサービス中断を最小限に抑えるには、問題管理と変更管理の実践が重要です。
- 標準的な変更要求と緊急の変更要求を定義し、要求を承認する必要があるのは誰か、要求を知るべき人は誰か、要求された変更をテストするために何をすべきか、問題が発生した場合にはどのように対処するかについて、統一したプロセスを作成するのに役立てましょう。ベストプラクティスを確立することで、変更要求プロセスを可視化し、将来のリスクを軽減するためのドキュメントを作成することができます。
働き方やIT環境は進化し続けていますが、問題管理と変更管理を導入することで、より積極的にサポートを継続することができます。ドキュメントを作成し、標準的な手法を確立することで、可視化と人的・技術的リソースを最適化し、最終的にサービスデスクでのユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。問題管理と変更管理の利点についての詳細は以下をご覧ください:
- ITIL 4の問題管理のベストプラクティスの概要
- ITIL 4のサービスマネジメントの4つの側面
- COVID後の成功に、なぜ変更の文書化が不可欠なのか?
- ユーザー重視の戦略でサービスデスクを活性化させる方法